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雑記

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○『北条氏康の子供たち』の刊行
 去年・今年は嵐のような2年間でした。完全にスケジュール管理に失敗をしており、その分多くの方にご迷惑をかけたと思っています。その上体調まで崩したのですから、最悪としかいいようがありません。まあ、おかげで大量の研究成果を世に送り出せたのですが…。こういうときは一度立ち止まって自分を見つめ直さないと、足下をすくわれることになるんじゃないかと思っています。いまどういう研究をやっていて、そこからどういう議論を紡ぎ出したいか、ということです。これが来年の課題となるでしょう。

 さて、宮帯出版社から黒田基樹・浅倉直美編『北条氏康の子供たち』(3500円税別)が刊行となりました。
はしがき黒田基樹5
序章 総論
北条氏康の子女について黒田基樹10
第一章 北条氏康の息子たち
北条氏政黒田基樹36
北条氏照則竹雄一58
北条氏邦浅倉直美82
北条氏規石渡洋平102
北条氏忠竹井英文124
北条氏光小川雄144
上杉景虎片桐昭彦168
第二章 北条氏康の娘たち
早川殿――今川氏真の室長谷川幸一184
七曲殿――北条氏繁の室小笠原春香204
長林院――太田氏資の室新井浩文216
浄光院殿――足利義氏の室長塚孝232
桂林院殿――武田勝頼の室丸島和洋246
第三章 戦国北条氏の居城
小田原城佐々木健策258
韮山城跡池谷初恵284
鉢形城跡石塚三夫294
唐沢山城出居博312
玉縄城宇都洋平328
付録
北条氏関係系図342
北条氏康と子供年譜小川雄344
花押・印章一覧351

 私は武田勝頼の継室になった桂林院殿を書いています。まあ、ほとんど『甲乱記』の現代語訳なんですが。『甲乱記』の史料的検討をしたことがつながってきました。研究とはどこでどうつながるかわからないものです。

(2015-12-26)
○連戦
 暖冬ということですが、さすがに冷え込みが厳しくなってきました。先日、沼田で真田氏に関する講演をしてきましたが、予定の300人を上回る来場をいただき、感謝感激です。役所の方は、「床が抜けるのでは…」と心配されていましたが。
 1月以降も講演が続きます。オープンな講演のみ、記しておきたいと思います。

真田中央公民館 地域学習講座 シンポジウム
  日時:2016年1月24日(土)14:00〜(開場13:30)
  場所:真田中央公民館大ホール
  論題:「時代考証担当の3人が大河ドラマ「真田丸」の時代を語る」
  登壇者:平山優・黒田基樹・丸島和洋
  入場:無料 定員先着300名様
  問い合わせ先:真田中央公民館 0268−72−2655

●山梨郷土研究会総会記念講演
  日時:2016年1月31日(日)15:20〜17:00
  場所:岡島ローヤル会館(甲府市丸の内1丁目21−15)
  論題:「武田信玄・勝頼と真田三代―幸綱・信綱から昌幸へ―」
  問い合わせ先:055−263−6441(山梨郷土研究会)

学術講座「真田氏の真実にせまる!」最終回
  日時:2016年2月27日(土)13:30〜17:00
  場所:上田駅前ビルパレオ2階 会議室
  論題:「真田一族の発祥から松代入部まで」
  入場:無料 定員先着80名様
  問い合わせ先:0268−29−0210(上田情報ライブラリー)

 この他、6月11日(土)に大多喜町、7月9日(土)に真田宝物館で講演を予定しています。また、連続した市民講座もいくつかありますが、現在日程などの調整中ですので、別の機会に。
(2015-12-21)
○闇が深くなるのは…
 あっという間に12月になりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。近々の講演予定を記しておきます。
歴史リレー講座会6
  日時:2015年12月19日(土)14:00〜
  場所:沼田市白沢支所 3階多目的ホール
  論題:「真田氏と上州―沼田領をめぐる北条氏との争い―」
  主催:沼田市
  入場:無料 定員300名様(事前申し込み不要)
  問い合わせ先:0278−22−1600(沼田エフエム放送)

●真田中央公民館 地域学習講座 シンポジウム
  日時:2016年1月24日(土)14:00〜
  場所:真田中央公民館大ホール
  論題:「〜時代考証担当の3人が大河ドラマ「真田丸」の時代を語る〜(仮)」
  登壇者:平山優・黒田基樹・丸島和洋
  入場:無料 定員300名様?
  問い合わせ先:現在調整中

 12月19日に、NHK出版から『NHK大河ドラマ・ストーリー 真田丸 前編』と、『NHK大河ドラマ歴史ハンドブック 真田丸』が発売されます。どちらも時代考証者3人が監修していますが、後者には、私が執筆した「クロニック「真田六文銭」戦記」と、時代考証者(平山・黒田・丸島)の座談会が掲載されます。かなりぎりぎりの進行になったので、はたしてどういう形で仕上がってくるのか不安なのですが、「真田丸」の内容にも当然触れています。放送前に情報を入手されたい方は、ご確認下さい。

(2015-12-06)
○休暇は終わりぬ
 復帰早々ですが、12月に沼田で講演をします。まだネットでの告知はでていないようですね。
●歴史リレー講座会6
  日時:2015年12月19日(土)14:00〜
  場所:沼田市白沢支所 3階多目的ホール
  論題:「真田氏と上州―沼田領をめぐる北条氏との争い―」
  主催:沼田市
  入場:無料 定員300名様(事前申し込み不要)
  問い合わせ先:0278−22−1600(沼田エフエム放送)

 話が全然変わるのですが、真田丸のスタッフTシャツが届きました(※有償)。関係者限定販売品なので、あまりお見せするものではないかもしれませんが、デザインがなかなか秀逸で、気に入っています。色は何色かあるのですが、赤備えに近そうなワインレッドにしました。

 真田丸Tシャツ・表  真田丸Tシャツ・裏

 『真田四代と信繁』ですが、紙媒体の書籍と同時に、Kindle版も刊行されました。電子書籍で読まれたい方は、そちらをご参照ください。
(2015-11-21)
○『真田四代と信繁』刊行です!

 『真田四代と信繁』(平凡社新書)が、11月13日に刊行されました。

 平凡社様としても、かなり力を入れていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。しかしまさか柴辻さんと黒田さんの本の発売日と重なるとは…。今年の真田本は激戦ですね。
 本当は、発売日に更新をしたがったのですが、無理がたたって暫くダウンしておりました。今日ようやく復帰したところです。

 次ですが、新人物文庫から、『真田家の人々(仮)』を年内に刊行する予定です。こちらは、入稿を終えました。真田家臣団小辞典のようなものと思って下さい。もう一冊、武田家の家臣団に関する著作を取りまとめている最中です。予定では、これが一番最初に出る筈だったのですが、大河ドラマ関係の著作が優先になったのと、次の論文集で論ずる内容と関わってきて、練り直しが必要になったため、順番が入れ替わりました。これさえ終われば、一息つけるのですが…。

 大河ドラマですが、小道具の書状のうち、画面に文面が映るものは、僕が文章を考えています。崩し字は、ある程度勉強した人なら読めるレベルでお願いしました。書状の様式(紙の使い方)も、各大名の慣例を踏まえるようにしているつもりです。こういう細かい作業、はじめると凝り出すんですよね、僕は。『武田氏家臣団人名辞典』の時もそうでしたが。
(2015-11-19)
○『真田四代と信繁』校了
 過日、『図説 真田一族』(戎光祥出版)が刊行の運びとなりました。Amazonへの入荷が遅れており(これはAmazon側の動きにかなり左右されるようですが)、御迷惑をおかけします。

 また、『真田四代と信繁』(平凡社新書)を校了しました。11月13日刊行です。

 宜しくお願いします。

 この二冊が片付いたので、次の本の仕上げに取りかかっています。こちらは、12月刊行予定です。詳細は、おってご案内いたします。
(2015-10-25)
○『図説 真田一族』校了
 『図説 真田一族』(戎光祥出版)を数日前に校了しました。出版社側の意向もあり、ぎりぎりまで節タイトルをいじったので、戎光祥出版のサイトに載っている細目次とは変わっています。ご寛恕ください。10月刊行です。

 現在、『真田四代と信繁』(平凡社新書)の校正が山場を迎えています。毎度ながら、赤がなかなか減らない・・・。こちらは11月刊行です。

 「四代」というのは、幸綱(一徳斎)−信綱−昌幸−信之を指しています。信繁は本家の家督をついでいないので、併記しました。章立ては『図説 真田一族』と同じで、幸綱、信綱、昌幸、信繁、信之の順です。

 先日、NHK出版の『「真田丸」歴史ハンドブック(仮)』(12月刊行)に掲載する「時代考証者座談会」をやりました。同シリーズでは初の試みだそうです。2時間というタイムスケジュールでしたが、あっという間に過ぎてしまいました。
 「ネタバレ」は基本避けるようにしたのですが、今回の考証サイドはこういう点に力をいれている、といったことをお話ししました。今までの戦国ものとは、少し違った描き方をするよう考証していますので、戸惑われるシーンがあるかもしれません。当然ですが、それをどうわかりやすく伝えるかという話し合いを、折に触れてしています。これは私にとってもいい勉強になりますから、有り難い機会を頂戴したと思っています。

 間違いなく言えるのは、回が進むたびにどんどん脚本が面白くなっていっている、ということでしょうか。

 ただ、座談会ではちょっと話足りなかったですね。終わってから、言いそびれたことがあるのにいろいろ気がつきました。本放送が始まったら、ときどき本サイト上でも補足説明をするかもしれません。

 現時点でひとつだけお話ししておきますと、役名がWikipediaなどで知られたものと違う、というケースがいくつか出ているかと思います。理由は簡単で、1)Wikipediaに書かれた名前が軍記物や系図によるもので、同時代史料から分かる実名と違う。「風林火山」の時にもかなりあったと思います。2)Wikipediaなどに書かれた名前の典拠を、近現代の「歴史小説」以外では確認できない。これは女性名で特に多いですね。

 上に挙げた例とは違いますが、高梨内記の娘を采女としているサイトがあるようです。しかし采女というのは内記の息子の名前で、娘の名前はわかりません。私が調べた限りでは、どうして娘の名前と理解されるようになったのか、不明です。もちろん、膨大な近世史料を調べ尽くしてはいないのですが…。

 よくいわれるように、ネットに転がっている情報には、出所不明のものが多いのですが(だから大学教員はネットからの引用を認めず、原典にあたるよう指導します)、特にWikipediaあたりに載ると、定説として広まる傾向があります。この裏づけ作業は、時代考証で要請されることもあれば、自著執筆のために行うこともあるのですが、いわゆる悪魔の証明になるケースが多い。現在でも、解決がつかない問題を複数抱えています。どこまで調査を継続するか、悩みはつきません。
(2015-10-03)
○真田講演その2

 この前の投稿でも記しましたが、10月以降、講演・講座ラッシュになります。
「真田コンシェルジュ」
  日時:2015年10月17日(土)14:00−15:50(開場は13:30)
  場所:上田商工会議所(上田市大手1-10-22)
「  論題:「戦国真田三代の軌跡―幸綱の智略、信綱の奮戦、そして昌幸の飛躍―」
  司会:小栗さくら(歴史アイドル)
  主催:上田市商店街振興組合「うえだ原町一番街商店会」
  入場:無料 先着150名様
  問い合わせ先:090−3142−3281(担当:中村さん)

ぐんま史料講座〜上州に真田来る!!〜
  日時:2015年10月24日(土)14:00〜15:30
  場所:群馬県立文書館 3階 研修室
  論題:「武田信玄・勝頼と真田幸綱・昌幸」
  定員:200円 定員50名様(超過の場合は抽選)
  申し込み方法:群馬県立文書館総務普及係へ郵送(往復葉書)またはメール(10/1〜10/11受け付け)

小牧市歴史講座「織田信長をめぐる人々」第4回
  日時:2015年10月31日(土)14:00〜15:30(開場は13:30)
  場所:まなび創造館 5階 あさひホール(小牧市小牧三丁目555)
  論題:「織田信長と武田信玄・勝頼」
  定員:無料 先着300名様
  申し込み方法:小牧市教育委員会 文化振興課へ電話・メール・郵送・FAXなど

「真田三代を学ぶ」第2回
  日時:2015年11月22日(日)14:00〜16:00
  場所:真田中央公民館
  論題:「武田家臣としての真田氏―幸綱・信綱から昌幸へ―」
  定員:参加費100円 先着100名様
  申し込み方法:真田中央公民館 0268−72−2655(9/24より受け付け開始)

 先日、「真田丸」の時代考証会議を終えた後、収録現場を見学させていただきました。こちらの考証が、現場にどう反映されているか、一度確認しておきたかったためです。ようするに、うまく伝わっているか、ということですね。
 時代考証というのは、脚本家(三谷さん)の書いた台本を読んで、修正意見を提案するわけですが、あくまでそれは文字の世界。特にト書きの部分がどう演じられるかは、監督・演出・役者さん次第なので(もちろん風俗考証や所作指導の先生が入りますが)、現場を拝見して、台本にコメントを出す際の参考にしようと思った次第です。
 もちろんどんなシーンを撮影していたかはお話し出来ませんが・・・。台本の読み合わせは一度拝聴しており、その段階で手応え(ちょっと出過ぎた表現ですが)を感じていたのですが、やはり実際の演技をみると「想像していた以上の出来」に仕上がりそうだ、と実感しました。まだまだ考証作業は続きますが、本放送が今から楽しみです。
(2015-09-22)
○近刊案内と真田講演その1
 戎光祥出版から、10月に刊行予定の『図説真田一族』がアマゾンに登録されました。

 戎光祥出版のサイトでは細目次が出ています。ご確認ください。

 といっても、現在綱渡りの校正中なのですが…。同時進行が色々ありまして、時間配分がなかなか難しい。判型は、『図説太田道灌』とは異なり、図録で時々ある変型タイプになるそうです。写真を大きく載せたい、という考えからです。

 10月以降、講演・講座ラッシュになりそうです。まず第一陣として、上田の「真田コンシェルジュ」でお話しをさせて頂きます。
  日時:2015年10月17日(土)14:00−15:50
  場所:上田商工会議所(上田市大手1-10-22)
  論題:「戦国真田三代の軌跡―幸綱の智略、信綱の奮戦、そして昌幸の飛躍―」
  司会:小栗さくら(歴史アイドル)
  主催:上田市商店街振興組合「うえだ原町一番街商店会」
  開場:13:30(予定)
  入場:無料 先着150名様
  問い合わせ先:090−3142−3281(担当:中村さん)

 どうも公式サイトなどがない?ようなのですが(よく分かっていない)、司会の小栗さくらさんがブログで告知をしてくれましたので、そちらをご参照ください。

 もっとも、大河裏話はするつもりがありませんので、期待しないように(苦笑)。何が公表されている情報なのか、整理するのに時々苦労します。まだほとんど表に出ていないからいいですが。
(2015-09-04)
○『全国国衆ガイド』刊行
 大石泰史編『全国国衆ガイド 戦国の"地元の殿様"たち』(星海社新書)が刊行されました。

 いや、なんと言っても分厚い。幅が2.3センチくらいあります。その分、本体価格は1350円と新書にしては高めですが、それを補ってあまりある情報を詰め込んでいます。
 「国衆」というのは、かつては室町時代と同じく国人領主と呼ばれていた存在です。ですが、戦国期に入る段階で一円領主化を遂げ、室町期とは権力の質が異なる存在であると評価されたことで、別の呼称を用いようということになりました。その代表的なものが「国衆」ですが、研究者間でも実は用語の統一がとれていません。「戦国領主」などの別の用語を用いる人もいます。
 国衆は戦国大名に従属してはいるものの、自治領主権を保持している存在である点に特徴があります。つまり、戦国大名領国には、国衆自治領が散在しています。こうした国衆は、豊臣秀吉によって、1)大名に認定して独立させる、2)大名の家臣扱いとする、3)改易する、のいずれかの措置がとられたため、近世では消滅しました。戦国期特有の権力のあり方という点を、ご理解ください。

 ただし、どの地域権力を戦国大名と評価し、国衆と評価するかの線引きは非常に困難で、執筆者間でも方針に相違があります。また紙幅の都合もあり(こんだけ分厚くて何を言うかという感じですが)、各国で掲載できる国衆には制限が設けられていたため(私は国衆が多い国はしょうがないと押し通しましたが)、国衆に近い権力でも戦国大名と扱って立項していない場合があります。その場合は、各地域の総論で触れることにしています。私の担当する「甲信」でいうと、村上氏がそれに該当します。逆に肥前では、国衆の数が多くなることに眼をつぶってもらって、国衆から戦国大名化した龍造寺氏、戦国大名から国衆に転落した有馬氏を両方とも載せています。
 また、国衆が少ない大名本国の場合、大名の一門を立項している場合があります。相模の玉縄北条氏、越前の敦賀朝倉氏などがそれにあたります。これを国衆と呼んでいいかは、議論が分かれるところでしょう。もっとも、武田氏や島津氏の場合は室町期の段階で分流していますから、庶流家でも国衆と評価してよいと、私自身は考えています。

 執筆者数も21人と、新書ではありえない人数になっています。以下、簡単に地域別執筆者を列挙しておきます。
 ・まえがき、あとがき、語彙解説 大石泰史
 ・北海道(コラム) 滝尻侑貴
 ・東北   佐藤貴浩(統轄) 滝尻侑貴、菅原義勝
 ・北関東  簗瀬大輔(統轄) 江田郁夫、中根正人
 ・南関東  柴裕之(統轄) 石渡洋平
 ・北陸   鈴木将典(統轄)
 ・甲信   丸島和洋(統轄)
 ・中部   鈴木将典(統轄) 小笠原春香
 ・東海   鈴木将典(統轄) 大石泰史、小川雄
 ・畿内   浜口誠至(統轄) 嶋田哲、小川雄
 ・中国   戸谷穂高(統轄) 大西泰正、木下聡、鈴木将典、小川雄
 ・四国   戸谷穂高(統轄)
 ・九州北部 丸島和洋(統轄) 八木直樹
 ・九州南部 丸島和洋(統轄) 新名一仁
 ・沖縄(コラム) 屋良健一郎

 なかなか珍しい企画の本だと思います。特に西国については、国衆レベルの研究は多くありませんので、貴重な成果だと思います(私自身、執筆にはえらく苦労しました…)。ぜひ手にとってご覧ください。
(2015-08-30)
○『武田氏研究』52号、そして…
 『武田氏研究』52号が刊行されました。

〔記念講演〕中近世移行期権力における「正当性」について久保健一郎1
長篠合戦後における武田氏の側近取次―土屋右衛門尉昌恒を中心に―深沢修平22
真田弁丸の天正一〇年丸島和洋38
〔余滴〕武田勝頼書状と誤写された上杉景勝書状丸島和洋43

 拙稿が2つあるのは、編集担当者として頁調整をする必要があったためです(空白の頁はつくれないので…)。論文のほう、真田弁丸は誰だかおわかりでしょうか?真田信繁の幼名です。今まで気がつかれてこなかった史料をつかいました。

 今日、大河ドラマ「真田丸」キャストの第一段が発表されました。ツイッターなどでは、色々盛り上がっているようですね。

 その関係で、慌ただしい日々を送っています。とりあえず、1冊目の真田本を9月を目標に、2冊目を10月を目標に執筆しています。こう書いておけば、締切を守るだろう…たぶん。

 ところで『古文書研究』に研究余滴「『八代日記』と地方暦」を書いたのですが、英文担当者が『やつしろにっき』と読むことを知らなかったため、英語表題がエラいことに(研究余滴は英語表題を出さないので)。まさか「The Eight-Generation Diary」と訳されてしまうとは。ようするに「8代の日記」と誤読されてしまったのです…。

(2015-07-10)
○『武田氏家臣団人名辞典』の刊行
 気がつきませんでした。企画から7年も経っていたんですね。東京堂出版から、柴辻俊六・平山優・黒田基樹・丸島和洋編『武田氏家臣団人名辞典』がようやく刊行の運びとなりました。「歴代当主をはじめ親族・夫人・重臣・中小家臣、在郷被官衆、商工人・僧侶神官まで、広く武田氏に関わる人物2500人を収録。確実な資料により人物の事跡を解説。武田氏の権力構造や領国経営を知るための基礎を提供」となっているそうです。まあ、そんな感じ。サイトにあるPDFビラの案内がいまいちなデザインなのですが、完成品は非常にシックなものにし上がっています。

 執筆分担は明記されていませんが、大ざっぱに言うとこんな感じです(順不同)。
  柴辻俊六 当主・一門・僧侶・神官・職人・商人
  丸島和洋 庶流家、甲斐国中・郡内地方、信濃佐久・小県・木曾郡、美濃
       花押集・印判集・系図作成
  平山優  甲斐河内、信濃諏訪・安曇・筑摩・伊那郡、飛騨
  黒田基樹 上野・武蔵・伊豆
  柴裕之  駿河・遠江・三河
  鈴木将典 信濃水内・高井・更級・埴科郡、甲斐・駿河・北信濃の地下人
 例外があったり、途中からかなり入れ組みましたので(何しろすごい長丁場)、必ずしもこの通りではありません。ただ、執筆者名は項目の最後に記されていますので、ご確認いただけるとは思います。何しろ長丁場だったため、執筆項目の重複などにより、連名となっている項目も結構ありますが。

 んで、それぞれの執筆割合が届きました。全753頁のうち、丸島は本文320頁、花押集・印判集・系図38頁の358頁を執筆しておりました。・・・47.5%。いや、甲斐国中=甲府が入る以上、武田二十四将は穴山信君と武田勝頼以外全員書いています。もう、何がなにやら。どおりでこの半年ぼろぼろだったわけで。

 それで、さっそくミスのお詫びです。
◆武田信繁の奥さんの法名に「居士」がついていますが、そんなわけはありません。どうしてこんな文字を打ってしまったのか、自分でもわかりません。
◆花押集731頁に「奥平信吉(天正元年)」とあるのは、「奥平信昌(天正元年)」の間違いです。痛恨のミス。
◆武田氏略系図、武田信廉の息子に「大竜寺麟岳」を入れるのを忘れていました。多分、操作ミスで消してしまったんだと思います。この系図は、武田一門の索引を兼ねているため、やはり痛恨のミス。信廉は柴辻さん執筆で、信廉子息は全員僕が書いたので、麟岳が信廉の息子だと言うことが信廉の項目には載っていないんですよね。大失態でした。
 しかし何はともあれ刊行です。お買い上げの程、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
(2015-05-14)
○白石調査
 ばたばたとしている間に、高野山調査成果の写真アップは中段してしまいました。まあ、しょっちゅう登山しているので、気が向いたらそのうち…。

 「来年」に向けて、あちこちかけずり回っています。今日は「遠藤家文書」の件でお世話になった宮城県白石市での調査。真田信繁の娘阿梅は、「乱取り」されて(なぜか「保護」と言い換えられることが多い)、片倉重長の妻になりました。その片倉家の居城が白石城というわけです。

 真田信繁娘阿梅の墓
 阿梅の墓です。もともとは「如意輪観音像」の形をしており、歯痛に効くという信仰から削り取られて今の姿になってしまったそうです。なかなか凄まじい。

 片倉重長墓
 片倉重長の墓。こちらは「阿弥陀如来座像」を模しています。片倉家は歴代この形の墓を作っていました。

 片倉景綱墓
 杉ですが、杉ではありません。片倉小十郎景綱の墓です。菩提寺の傑山寺にそびえています。片倉家の墓所は、もとはこの地にありました。

 そろそろHPの更新も頻度をあげようかと思います。色々、ご報告事項が出来そうなので。
(2015-05-11)
○服部治則先生の訃報
 しばらく間を開けてから書こうと思っていたら、予想外に遅くなってしまいました。武田家臣団について、基礎的な研究を積み重ねてこられた服部治則先生がご逝去されました。謹んで、ここにご冥福をお祈りさせていただきます。

 まだまだ著作にまとめられていない貴重な御論考が多々あります。ただし入手が困難なのが難点で…。
(2015-04-26)
○業務連絡
 更新がすっかり滞ってしまいました。仕事のスケジュールが完全に狂ってしまったことに要因があるのですが、自分自身がその一端を担っているので、いたしかたなし。

 完全に業務連絡ですが、iPhoneを水没させて壊してしまいました。現在修理中ですが、目途がたちません。ご連絡は、自宅のメール(kazu_maru@jcom.home.ne.jp)にお願いします(@を2バイト文字にしています…気休めですが)。外出中も常にチェックしていますので。

 最近は、ゲームをすることもなくなりましたが、漫画を読むことも激減しました。漫画雑誌はいくつか買ってはいるのですが、今年に入ってから、一度も開いていません。ただ買うだけです。漫画雑誌の積ん読というのも珍しいのかな。

 

 『放浪息子』も完結してかなりたちますね。最終話のタイトルが、アニメ版のエンディングテーマ曲の名前というのはぐっときました。この物語のポイントは、最終話が「厳しい未来」を暗示して終わるところ。受け止め方にもよりますが。

 原稿は、本務と『辞典』の合間をぬって、いろいろ書いています。あちこち手を広げすぎていて、風呂敷を閉じられていない状況かもしれませんが…。
(2015-03-08)