|
|||||||||||||||
雑記
|
|||||||||||||||
○冬期講座のご案内
冬期の一般向け講座のご案内です。
●早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校 「人物でたどる戦国史―史料からみた戦国武将の実像・元亀争乱編―」 全10回 ・01月08日 〜 02月26日(毎週水曜・10時半〜12時) 同時代史料をもとに、小説や講談・ドラマ、あるいは研究において定着してしまった虚像を考え直したり、あまり馴染みがないけれど戦国時代を考える上で重要な人物の紹介を行います。今期も引き続き、新年度NHK大河ドラマ「麒麟がくる」にあわせ、織田信長・明智光秀関連を扱います。冬期は、いわゆる「信長包囲網」関係大名を対象とします。ちょっと大河の進度と比べると、早すぎた(汗)。 ※講座が開始すると、ウェブ上では「受け付け終了」と表示されますが、電話申し込みは継続して受け付けているそうです。ただし、受講料は変わらないとのこと。 今年最後の更新になるかと思います。よいお年をお迎えください。 (2019-12-29)
○江戸川区子ども未来館での講座(2019年9月)
9月28日(土)に、江戸川区子ども未来館で、小学校4〜6年生向けのオムニバス講座「歴史研究所 武士の時代へタイムトラベル」をやってきました。話してばかりですと退屈してしまいますので、ミニゲームを入れることにしています。今年は、「真田昌幸になって、第一次上田合戦で徳川軍をやっつける作戦を考えてみよう」みたいな感じのグループ学習をやってもらいました。
元ネタは、上智大学中澤研究室が購入した第一次上田合戦絵図です。 この絵図は、「真田源五郎(源三郎の誤写)、今之伊豆守之事」などとあることから信之存命中成立で、使われている言葉は戦国のもの。徳川を敵としているから真田方、だが地理がおかしいので援軍を派遣した上杉作成絵図の写と考えられているものです。 絵図そのものの詳細は、中澤克昭『真田氏三代と信濃・大坂の合戦』(吉川弘文館)を参照してください。 どこがどうおかしいかというと、1)上田城が千曲川から離れている(当時の上田城は河岸段丘を利用した城)、2)徳川軍が千曲川南岸から北に向かって攻め寄せている、3)有力武将の内平岩親吉・大久保忠世は描かれているが、鳥居元忠の名前がなく、全軍撤退時に援軍としてやってきた井伊直政が平岩の部下として出てきている、といったところ。 徳川軍は、上田城の東を南北に流れる神川(当時の発音は「かががわ」、千曲川の支流)を渡って、東から西に侵攻してきていますから、真田氏作成ではありえないミスです。なので、援軍を派遣した上杉作成ではないか、とされています。また誤写があるので、原本ではなく写になります。 なおこれより新しい写が、『松代町史』編纂過程で作成されたようですが、戦国期の言葉がまったくわからなくなっており、誤写が増えて意味が通じない地図になっており、顧みられてきませんでした。 なお、地理関係の間違いは、上杉の本格的援軍到着が閏8月2日の決戦後で、すでに戦場が千曲川以南に移っていたためと思われます。井伊直政がいるのも、撤退時の情報との混乱でしょう。 ともかくこの絵図は、真田昌幸の作戦が非常に細かく記されており、非常に面白い。この絵図のおかげで、上田合戦の様子がかなり具体的にわかるようになってきました。これほど詳しくわかる戦国期の合戦は、ちょっとないです。『戦国遺文真田氏編』第一巻に翻刻したのですが、うっかり一行抜けてしまいました(最終巻あたりで訂正版を再収録したいと思います)。 最初に第一次上田合戦の背景と、両軍の兵力(概算)、既知であった『三河物語』「室賀満俊覚書」の記述の説明と、図に出てくる「宿城」(惣構えの中城下町がある形)の説明をした後、絵図から文字情報を削除したコピーを配布しました。それが、下の地図を拡大してもらったものです。 昌幸は、宿城に配置されている鉄砲や旗を使って、味方の軍勢や伏兵を動かしたのですが、説明は考えた末に省略しました。答えを誘導したくなかったもので。持ち駒は、真田昌幸軍、真田信幸軍、上杉景勝援軍、百姓(木製のマグネット)×3、忍者(左記マグネットに青テープ)×2、です。なお百姓は、15歳〜50歳の地下人と絵図にあるもの。忍者はカマリです。 さて、全4班にわかれての、作戦会議開始です。まず、ポストイットにそれぞれ自分なりの作戦を書き出して、そこから話し合いで作戦を決める、というやり方をしました。 とりあえず絵図通りの作戦を考えて貰うので、徳川軍は南から北へ侵攻。絵図の中の赤線が道。その南に田んぼ、北に藪。北の山裾に蘆野が広がっています。上田城は北西、北東に取出=砦(砥石城)があります。千曲川から北は全部真田領、と説明。 うっかりしたのは、打ち合わせ不足で足軽のコマを作らなかったこと。ですが、かえって想像が広がりました。 許可を得て、小学生の成果を出してみたいと思います(個人情報関係が出ていないことはチェック済みで、多少加工しています)。 昌幸は、宿城に配置されている鉄砲や旗を使って、味方の軍勢や伏兵を動かしたのですが、説明は考えた末に省略。 まず第1班(順不同です…関係ないですが)。 よく練っています。道を百姓兵が塞いでいます。城におびき寄せて、後ろから百姓兵で挟み撃ちにする、川を堰き止めて、川の水でやっつける。川に泥をいれて、ぬかるみを作る。田んぼに突き落とす。アイデアが豊富ですね。 面白いのは、忍者部隊を最初から徳川の陣に配置して、攪乱工作をさせているところ。なお全発表が終わってから、当時の忍者はスパイもするけど、戦場では強襲部隊という説明をしました。さらに上杉の援軍を、徳川の後方に配置。これまた予想外です。 第2班。 蘆野の焼き討ちや、山裾に侵攻されることを警戒しています。忍者部隊は、西側の川を突破させないように配置。もう一部隊は藪に潜ませて夜襲(これは実際に昌幸がとった戦術です)。上杉の援軍に砥石城をまかせて、百姓を伝令用に使っています。さらに、山が襲われた場合、上杉別働隊を「作って」援軍に派遣させています。すごい自由な発想で、面白い。 信幸を配置した宿城(惣構え内の城下町)に「出城を作る」というのは、真田丸からきた発想でしょうか。 第3班。 百姓は田んぼ防衛に配置。忍者を情報伝達と藪での伏兵に使っています。正規軍の人数を歩兵・鉄砲細かく書き込んでいます。こだわりのある設定ですね。そんな指示はもちろんしていないわけで、非常に面白い。このグループも、やはり山への攻撃を警戒しているようです。 最後、第4班。 こちらも千曲川西側からの渡河を懸念しているのですが、百姓は城下町防衛に専念させています。残りはというと、個々人のアイデア出しのために配った付箋で、兵隊の数を増やしています。足軽を入れ損ねたと書きましたが、そこをうまく補われました(笑)。やはり小学生の発想は、柔軟です。 というわけで、僕としても非常に面白い結果がでました。ちなみに昌幸がこの時取った戦術は、絵図によると以下の通り。 1)宿城に配置した鉄砲で敵軍の位置を報告させる。 2)上田城に敵を引きつけて、わざと城内におびき寄せ、敵が引いたら出撃し、反撃されたら退却して挑発、を繰り返して夜になるのを待つ。 3)日暮れ時になったら、宿城に配置した旗1をふって砥石城に合図を送り、信幸を出撃させて敵の退路を塞ぐ。実際の徳川勢は東、つまり砥石城の南に退却している。 4)宿城の第2の旗をふって、山麓の蘆野に伏せさせた百姓に、鬨の声を挙げさせて、紙製の旗を振るう=本当の伏兵がいると思い込ませる。 5)敵が撤退に入ったら、宿城の第3の旗を振って、藪に合図を送る。藪からは足軽と百姓が鬨の声をあげ、二手に分かれて退却する敵を急襲。「カマリ」云々とあるので、忍びもいたし、足軽も忍び働きをした模様。 6)藪の伏兵に反撃しようとした敵を、北から信幸が急襲する。もう一方の部隊は、昌幸が上田城から出陣して藪のカマリ(忍び)と挟撃する。徳川勢は、神川のほうに追い詰められる。 7)途中の国分寺で合戦(信幸書状)。信幸によると1300人余を討ち取った、『三河物語』によると、300人余の損害。まあ間を取って数百人でしょうか。それでも徳川の損害は一割くらいに達しています。 とにかく、小学生の発想が豊かで、自分でも楽しめました。来月もう一回あるのですが、そちらでもミニゲームを準備しています。 (2019-09-29)
○秋期講座のご案内
秋期の一般向け講座のご案内です。
●早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校 「人物でたどる戦国史―史料からみた戦国武将の実像・信長上洛編―」 全10回 ・10月02日 〜 12月04日(毎週水曜・10時半〜12時) 同時代史料をもとに、小説や講談・ドラマ、あるいは研究において定着してしまった虚像を考え直したり、あまり馴染みがないけれど戦国時代を考える上で重要な人物の紹介を行います。今期から、来年の大河ドラマにあわせ、織田信長・明智光秀関連を扱います。まずは、信長の尾張統一と、上洛に関わる人物(織田家臣・他大名)で、最後の第10回が光秀です。 ※講座が開始すると、ウェブ上では「受け付け終了」と表示されますが、電話申し込みは継続して受け付けているそうです。ただし、受講料は変わらないとのこと。 それから、武蔵野大学生涯学習の講座です。 ●「武田信虎は暴君であったのか」 全1回 ・11月07日 (日曜・13時〜14時半) 場所:千代田サテライト教室 連続講座「武士の権力論 第八弾」のひとつです。こちらは、好きな講座だけ受講することが可能です。こちらは、総論または特論をお話しする講義です。信虎の話は、昨年度のNHKカルチャー横浜教室、江東区の連続講座、武田氏研究会講演ですでにしております。内容が重なる部分が多いと思いますので、その点はご留意ください。 (2019-09-17)
○夏期講座のご案内
もう今週開始ですが、夏期の一般向け講座のご案内です。
●早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校 「人物でたどる戦国史―史料からみた戦国武将の実像・関東動乱編―」 全8回 ・07月10日 〜 09月04日(毎週水曜・10時半〜12時) 同時代史料をもとに、小説や講談・ドラマ、あるいは研究において定着してしまった虚像を考え直したり、あまり馴染みがないけれど戦国時代を考える上で重要な人物の紹介を行います。今期は、関東の大名・国衆、そして古河公方です。ちょっと別件の仕事がらみで、整理し直しています。 最近東国に偏っているので、濱口誠至君がやっている武家儀礼の講座も一緒にご紹介しておきます。 ●「戦国時代の政治と文化」 全5回 ・07月10日 〜 08月07日(毎週水曜・13時〜14時半) ※どちらも講座が開始すると、ウェブ上では「受け付け終了」と表示されますが、電話申し込みは継続して受け付けているそうです。ただし、受講料は変わらないとのこと。 (2019-07-07)
○勤務先の異動
本日(平成31年4月日)付で、東京都市大学共通教育部人文・社会科学系(人文・社会科学教育部門)に、准教授として着任しました。最寄駅は大井町線尾山台、世田谷キャンパスです。一般教養を担当する形です。
もとは武蔵工大といった大学で、今度東京都立大学に名称を戻す首都大学東京とは別の大学です。よく間違われますが…。とまれ今後とも、よろしくお願い申し上げます。 (2019-04-01)
○『武田氏研究』59号刊行と春期講座のご案内
年度内最後で、ようやく更新ができました。
まず、『武田氏研究』59号が刊行されました。お求めは岩田書院か、ジュンク堂にて。
それと、先週末発売の『歴史REAL 関東戦国150年史』のpart3を執筆しています。細かいタイトルやキャプションは編集任せですが…。「法の支配」は自力救済の対語ではないし、江戸時代に適用すべきではないから外せ、っていったんだけどな。 最後に、春期の一般向け講座のご案内です。 ●早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校 「人物でたどる戦国史―史料からみた戦国武将の実像・東北動乱編―」 全10回 ・04月10日 〜 06月19日(毎週水曜・10時半〜12時) 同時代史料をもとに、小説や講談・ドラマ、あるいは研究において定着してしまった虚像を考え直したり、あまり馴染みがないけれど戦国時代を考える上で重要な人物の紹介を行います。完全な講義形式になります。今回は東北の大名・国衆を取り上げます。 本年は、水曜午前中の本講座のみとなります(今までと時間も変更になっています)。古文書の講座は行いませんので、ご注意ください。 ※なお、講座が開始すると、ウェブ上では「受け付け終了」と表示されますが、電話申し込みは継続して受け付けているそうです。ただし、受講料は変わらないとのこと。 ●江東区豊洲文化センター講座 「〜甲府を創った男〜武田信虎の生涯とその時代」 全4回 ・06月01日 〜 07月13日(隔週土曜・14時〜15時半) 甲府開創500年ということで、武田信虎についてお話しします。募集期間はもう過ぎていますが、まだ受け付けているようです。興味のある方は担当に御連絡ください。しかしNHKカルチャーといい、なんで本題のほうに〜をつけるのさ?おかしいだろ。 ●武蔵大学生涯学習講座 「川中島合戦を捉え直す」 全1回・06月02日(日) 13:00〜14:30 千代田サテライト教室 連続講座「武士の権力論 第七弾」のひとつです。この連続講座は、好きな講座だけ受講することが可能です。総論または特論をお話しする講義です。なお「史料から日本の歴史を考える」については、後任にバトンタッチしました。 (2019-03-31)
○冬期講座のご案内
冬期の一般向け講座のご案内です。
●早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校 (1)「古文書からみる戦国時代―武田信玄の書状を読む 対織田外交編―」 全8回 ・01月09日 〜 02月27日(毎週水曜・13時〜14時半) 戦国時代の古文書の崩し字を読む講座です。前回(2018年度秋期講座)に引き続き、武田信玄の出した書状や命令書を読んでいきます。今度は信長との外交書状を中心に読みます。なお、本講座はこれで一区切りとする予定です。 (2)「人物でたどる戦国史―史料からみた戦国武将の実像・東国黎明編―」 全8回 ・01月09日 〜 02月27日(毎週水曜・15時〜16時半) 同時代史料をもとに、小説や講談・ドラマ、あるいは研究において定着してしまった虚像を考え直したり、あまり馴染みがないけれど戦国時代を考える上で重要な人物の紹介を行います。こちらは完全な講義形式になります。 今期は、著名な東国戦国大名の父親世代を取り上げます。 ※なお、講座が開始すると、ウェブ上では「受け付け終了」と表示されますが、電話申し込みは継続して受け付けているそうです。ただし、受講料は変わらないとのこと。 (2019-01-07)
|